●端面面取りの必要性
プリント配線板が高密度化すればするほど、プリント配線板表面に付着したゴミが原因の、配線パターンの断線やショートが問題となります。高歩留まり、低ランニングコスト実現のための、印刷スクリーンの保護も重要になってくる。プリント配線板が高多層化すれば、同じプリント板を何度もプレス、パターン形成する行程を行うことになります。つまり、一枚のプリント板で何枚分ものリスクを負うことになります。端面面取りを行うことは、その様なリスクを最小限にとどめることにつながります。
端面面取りとは、プリント配線板の外形加工後に行う切断面の研磨工程を指します。通常、プリント配線板の外形加工は、固定刃によるシャーリングまたは、回転刃による切断によって行われます。プリント配線板は、ガラスクロスをコアとした樹脂の絶縁層の両面に薄い銅箔を乗せ、プレスして製造されている。回転刃による切断を除けば、プリント配線板を切断することにより、切断面はガラスクロスの繊維や、細かな樹脂が付着している。これらの付着物は、加工々程中に簡単に剥離し、プリント配線板の表面に付着したり、化学処理中の薬液に混入します。付着したガラスクロスや樹脂が、印刷工程において配線パターンの断線やショートを引き起こすことは容易に想像されます。薬液も汚染されることになります。
また、切断工程での表面銅箔のバリは、印刷スクリーンの寿命を著しく短縮させます。0.1mm以下の極薄板では、バリとなった銅箔による表・裏面の導通にもつながります。
それらの問題点を未然に防止するために、切断面を高速回転のカッタで研磨する端面面取機が考案されました。切断後のプリント配線板を、端面面取機で面取り処理することにより、基板端面のガラスクロス繊維を取り除き、表面銅箔のバリを除去して滑らかな切断面を得ることが出来ます。
●端面面取機の詳細
はじめに、端面面取機に必要な機能を列記してみみます。
1. 端面の研磨と表面銅箔のバリ取りが同時に可能なこと。
2. 仕上がり外形寸法を、一定に保つこと。
3. 一工程で四面の面取り加工が可能で、短時間に多数枚の処理が可能なこと。
4. 加工するプリント配線板の寸法に応じた、セット変更が簡便であること。
3. 面取りカッタの交換が容易で、再研磨等でランニングコストを低減できること。
4. プリント配線板の表面に擦り傷、打痕等のダメージを与えないこと。
5. 省人化に対応した投入装置、受け取り装置を連結でき、刻印機、コーナ面取り機等を連結できる拡張性を有すること。
6. 切断面のガラスクロスや樹脂粉を除去できること。
7. 内層プリント配線板に対応した、薄板加工に対応できること。
●両面プリント板の端面面取り
装置をスタートさせると、セットされたプリント配線板は、プリント板にダメージを与えないように、上面から一枚ずつ吸着ベルトにより吸引され、DFL-700Wの受け入れコンベア上に搬出されます。搬出されたプリント配線板は、ピンチングロールあるいは幅寄せベルトにより、基準定規に押し付けられ、面取り加工部へ搬送されます。
面取り加工部には専用カッタが、左右二箇所で高速回転しています。カッタにはダイヤモンドチップが採用されています。一口にダイヤモンドチップと言っても種類は様々である。一般的にはもっとも硬い材料とされているが、母材と添加物、焼結温度、圧力等により、様々な性質の工業用ダイヤモンドが出来あがる。チップに採用するダイヤモンドの選定は、切削面の仕上がりや刃持ちに大きく影響する。カッタは装置に合わせて開発を行っているメーカ純正品を選択する必要があります。プリント板は、ガラスクロス、エポキシ樹脂、銅箔といった複合材料で構成されている。複合材料に対して、長時間仕上がり面を維持し、刃持ちを確保することは非常に難しい。カッタの選択によっては、装置の性能を十分に引き出せないことも考えられます。
送材ベルトにより、クランプされながら搬送されたプリント配線板は、二箇所のカッタ部を通過することにより、二辺の端面面取り加工が行われます。端面面取りでは、通常一面あたり0.5mmが切削され、切削紛は専用集塵機によって集塵されます。
二辺が面取りされたプリント配線板は、中央部のコンベアで90°反転され、同様の工程を経て残り二辺の面取り加工を行います。
四面すべての端面面取り加工を行ったプリント配線板は、自動受取り装置や、次工程に搬送されます。
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